共に生きる者

06.家族


Line
* Kasumi *
 まったくもぉ……昂貴ってば、メールでもそんなことばっかり。
 今日は疲れたなあ。なにしろ朝からあんなだったし……って、そんなことはいいのよっ。
 私は、あれから支度をして帰ったんだけど、残ってた家事を済ませたりシャワーを浴びたりしてたから、予定よりだいぶ遅くなっちゃった。この時間じゃお腹が空くかなと思って、地元の駅のそばのお気に入りのパン屋さんで遅いお昼ごはんを買って、結局、家についたのは三時頃。だけど、お盆だからって、会社の重役クラスである両親が平日に休みなわけがなくて、当然ながら、その後継ぎとして一緒に仕事をしている水澄兄もいなかった。でも火澄兄がいつの間にか帰国してて。
「おぉ我が妹よ、よく帰ってきた!」
 とか言うもんだから、がっくり脱力。もー、なに言ってるのよぅ。
 わざわざ帰国してるっていうことは、きっと就職のためだろうし、だとしたら、火澄兄だって会社に居たほうがいいんじゃないのかな。私のために、家に残ってくれてたのかな……。
 でも火澄兄は、いいのかなぁって思ってた私の顔を見て、こう言ったの。
「うん、元気になったな。良かった良かった」
 なんのこと? って聞いたら、一人暮らしする前の私のことだったみたい。
 三年も前のことなのに、どうして、ずっと落ち込んでたってわかるんだろう。相談したこともないのに。
 そういえば、三年前、私が一人暮らしをしたいと言った時、賛成してくれたのは火澄兄だった。真っ先に反対した水澄兄と、私の突然の言葉に途惑う母を、今もはっきりと憶えてる。考えに考えて出した結論だったけど、それまでは私自身でさえ一人暮らしなんて全く考えていなかったのだから、反対されて当然だ。
 結局、父は首を縦に振ってくれたけど、あの時、火澄兄の賛成が無かったら、私は実家に留まり、きっと泣く場所と時間を探すばかりだったと思う……。
「風澄は家族が助けるより、自分で立ち直るほうが元気になるのかもしれないな。
 ……それとも、元気にしてくれたひとがいるのかな?」
 なんていきなり言われて、顔面蒼白。だってそんな話したことなかったのよ? だけど火澄兄は私の頭をぽんぽんって撫でて、さらっと言った。
「良かったな。恋愛はしたほうがいいぞ風澄。辛いことも多いけど、それ以上の幸せもたくさんあるからな」
 だって。わかってるんだ。恋愛……っていうとちょっと違うんだけど。敏感っていうか、鋭いところ、昂貴と似てる。射手座のひとだから?
「別に、そんなんじゃないもん」
「僕に隠さなくたっていいだろう?」
 だって。うううー、ばれてる。隠しごととか嘘って苦手なのよね……。
「どんな男だ?」
 そっと笑って聞くから、強く否定する気にもなれなくて。
「……私のことを大切にしてくれるひと、かな。ちょっと、火澄兄に似てるかも」
「そりゃいい男だな?」
 うん、そうだね。尊敬できて、優しいよ。
「火澄兄、好きなひといるんだ」
「大切な女性ならいるぞ。残念ながら、風澄にはあまり似ていないけどな」
 うわ、きっぱり言えちゃうんだ。聞いてるこっちが恥ずかしくなっちゃうくらい。火澄兄は、いつも余裕綽々で、本心を巧みにかわして隠すのに。それとも、だからこそ、こんな真っ直ぐな言葉を口にできるのかな。一番大切な気持ちに嘘をつかない。その名の如き、燃えるような情熱的な恋愛をしてるんだろうか?
 うちの兄弟は、まだ誰も結婚していない。人それぞれのことだし、それは別に変なことではないけれど、いずれ誰かが大切な唯一のひとをこの家に連れてきて、家族に紹介する日が来る。私は時々、誰が一番最初になるのかな、なんて考えちゃうんだけど、誰が最初でもいい。いつか私も、火澄兄の、そして水澄兄の、大切なひとに会えたらいいな。
「みんなは何時ごろ帰ってくるの?」
「まぁ、七時過ぎになるだろうな。寿司をたっぷり頼んであるらしいぞ」
「ほんと?」
「ああ。風澄は和食は苦手だけど、寿司は好物だもんな」
「うんっ」
 ……おかげで、ごはん食べ過ぎたけどね。

 それから、家族が帰ってくるまでずっと、リビングで火澄兄と話をしていた。
 昂貴直伝の紅茶を淹れたら、本場とはまた違う美味しさがあると褒めてくれた。火澄兄もお昼を食べていなかったから、買ってきたパンを一緒につまんだりして。パン屋さんに行ってきて正解だったわね。私、結構よく食べるほうなんだけど、一人で食事をするのがすごく苦手なの。これまでの私なら、まぁ紅茶くらいは飲んでいたかもしれないけど、お腹が空いても夕食まで待っていたと思う。でも、昂貴と知り合ってからは、きちんと食事を摂るようになった。さすがにわざわざ実家に帰ってまで自分ひとりのためだけにお料理をする気にはならなかったから、出来合いのものにしたんだけど。
 話したのは、火澄兄が留学してるイギリスのこと。やっぱりロンドンは都会の街だけど田舎のひとはすごく親切だとか、イギリス料理は美味しくないんだけど他の国のお料理は絶品だとか、でもフィッシュ&チップスは文句なしだとか、ガーデニングは本場だけあって使い方が非常に上手いとか、そういう話。私もイギリスには行ったことがあるから懐かしさも感じるけど、やっぱり実際に住んでみないとわからないことってたくさんあると思う。滞在経験のある国でさえこうなんだもの、幾ら勉強したとはいえ、イタリアなんて私にとっては想像どころか空想状態だわ。
 そして、お土産をたくさんもらった。お気に入りの茶葉の大きな缶と、愛用のティーセットと同じ、大好きな赤薔薇のシリーズのグッズ。青薔薇のシリーズにはあまり展開がないけど、赤薔薇のほうは歴史のある人気のデザインで、食器だけじゃなくて、本当にいろいろなものが出てるの。日本でも少しずつ取り扱いが増えてるし、今までも、時計や花瓶や写真立や、いろいろ持っていたんだけど、火澄兄は私がこのシリーズを好きなのを知っていて、帰国するたびに買ってきてくれるのよね。是非使わなくちゃ。

 七時半を過ぎた頃、両親と上の兄が帰ってきた。
 こんな早い時間に帰ってきたのは、やっぱり火澄兄と私が帰省してるからなんだろうな。まぁお盆で色々な会社がお休みだからっていうのもあるんだろうけど。市谷グループは、たぶん日本では珍しいほうだと思うんだけど、就業時間内に仕事を終えることを前提としているの。そのほうがだらだら残業するより仕事効率が良くなるし、空き時間ができれば社員のプライベートも充実するものだし、そのぶん、生活にもメリハリがついて良いからって。私も、そのほうが企業人としても家庭人としても楽しい人生が送れると思うんだけど、日本の会社って定時退社する人は不真面目な人って扱いを受けることが多いように思う。特に中小企業なんてサービス残業が日常茶飯事って聞くし……でもそれって、法律違反なんじゃないかしら。きちんと労働基準法を読んだわけじゃないから、うろ覚えなんだけど。仕事なんて、会社との雇用契約をクリアしていれば良いことだし、残業前提なんて、かえって非効率的だと思うんだけどな。まぁ、私は社会に出た経験が無いから、実体験じゃないんだけど。でも、さすがにそういう会社であっても、社長とその妻である社員とその息子である後継ぎときては、定時退社なんて滅多に無い。そもそも役員クラスになると平社員とは法律上の扱いも違うし、定時とか残業とかいう枠組みの話じゃないのかもしれないけど。
 それに、昔は会社が渋谷にあったから、直線距離では意外と近かったんだけど、社屋が移転してからは通勤時間がだいぶ長くなった。うちの大学からそれほど遠くない場所だから通えない距離じゃないし、仕事量から言っても、昔みたいに会社近くにマンションを借りないと身体がもたないっていうほどではないから、この程度の距離は問題にならないみたいだけど、やっぱり毎日通うには遠いんじゃないかしら。まぁ、私は会社に行ったことが一度も無いから、よくは知らないんだけどね……。それに、今はオンラインでも色々できるようになったし、なにより水澄兄が父の仕事を手伝っているから、両親も随分と楽になったみたい。会社が渋谷にあった頃なんて、会長である祖父の家が原宿駅の近くにあるから、そっちに泊まっても良かったのに、その一駅ぶんの移動時間さえ惜しいほどの忙しさだったし。私が今住んでいるマンションを空き時間の仮眠に使ったり、もっと忙しい時は両親とも泊まってくることもあった。両親があまり家に居ないことは寂しかったけど、忙しい中でも、できるだけ家族の時間を作ってくれていたし、兄が居たし。それに、そんな時は親戚が私たちの様子を見にきてくれたり、親戚の家に三人で泊まりに行って従兄弟たちに会ったり、楽しいこともたくさんあったあったから。そうやって親戚みんなで協力し合っていたんだっていうことが、今はよくわかる。父方の親族は仲が良いし、こういう時、市谷グループは、大企業であると同時に、親族経営で成り立っているんだって思うの。親族経営、しかも世襲制の大企業なんて言うと、いかにも悪習という感じで聞こえが悪いけど、それで安定した経営が続いているんだもの、兄弟で憎みあったり、変に権力争いのような事態が起こるより、よっぽど良いと思うの。
 父は、その市谷グループの社長なんだけど、あまりそういう印象は受けないと思う。私は家族の中の父しか知らないから、会社ではまた違うんだろうけど。見た目はね、娘の私が言うのもなんだけど、穏やかで華やかで重厚で、洗練された紳士っていう印象かな。こういう言い方するとファザコンみたいで嫌なんだけど、うちの父みたいなひとって、そうそう居ないと思うのよね。五十代なのに、おじさんっぽさが全く無いの。そして、母親にベタボレ。別にべたべたしてるわけじゃないんだけど、いつも一緒に居るし、ラブラブ夫婦だと思う。母も同じ市谷グループに勤めているんだけど、ほとんど父の秘書状態なんじゃないかしら。
 その母親の本来の職業は、市谷グループの顧問弁護士の筆頭。でもうちの母は、たぶん父以上に見た目からはその職業を想像できないと思う。すごく細くて、色素が薄いの。娘の私から見ても、とても三人も子供がいるとは思えない。触れたら折れそうなくらい華奢で、たおやかな印象なんだけど、中身はかなり豪胆。なにしろ弁護士だから、口も立つわけよ。その意外性を利用して何度有利な方向へ結果を導いたか知れないとか。仕事では市谷グループの各部門における特許とか、権利関係に関わってるみたい。このあたりは企業秘密も関わってくるから、実は私もよく知らなかったりするんだけど。忙しいのに家事もきちんとこなしてるし、まさに仕事と家庭の両立に成功していると思う。意外に思うかもしれないけど、うちはお手伝いさんが居ないしね。
 長男、水澄兄はうちの大学の法学部を卒業して、市谷の後継ぎとして父の下で働いている。平社員として入社した後、色々な部門に所属しては成果を上げていたようだけど、本格的に次期社長教育が始まったっていうところかな。物静かで、とにかく優秀。成績なんて5段階評価で毎回オール5っていう人だし、大学でも何度か表彰されていたみたい。長男に生まれるべくして生まれたって感じかなぁ。外見は、真っ黒な髪と繊細な容貌。髪や瞳の色は父親似で、肌の白さ以外には色素の薄さを感じないけど、見た目は母親に似てる。性格は一言で言えば沈着冷静。黙って本を読んだり考えごとをしているときの雰囲気は、真夜中の静かな海や、深い森の奥にある密やかな湖の如き静謐。名は体をあらわすという言葉の具体例のようだと思う。
 次男の火澄兄は経済学部卒で、今はイギリスの大学院生。基本的に父親似なんだけど、私より色素が薄いと思うの。私と同じ少し癖のある栗色の髪と、母親と同じ明るい色の瞳と、私より白い肌。私、ファンデーションの色が合わなくて困ることがあるんだけど、火澄兄なんて、それ以上に無いんじゃないかしら。まぁ男性だから関係の無い話だけど。性格は能弁で明るくて、水澄兄とは正反対ね。二人でなにかと言い合いをしていることが多いけど、私から見ると仲良し兄弟。火澄兄は火澄兄で優秀なひとだったし、成績も同じような感じだったけど、水澄兄とは質が違う優秀さだと思う。性格も全く違うしね。
 そして私を含めて五人がうちの家族。私は父親似。色素の薄いところは母親に似たけど、いかにも市谷家らしい顔立ちで、派手な顔ってよく言われるから。そういえば、両親も二人の兄も、語学が大得意。そりゃあ努力もしたんでしょうけど、できないのは私だけかと思うと悔しいなぁ。でもいいもん、私も頑張るし。
 昂貴のうちと同じく、私の家もお茶が好き。お寿司の後には果物を食べて、お茶の時間。しかも地元の有名なお店のケーキを買ってきてくれてたの。今日は大好物ばかりで、食べ過ぎちゃったなぁ……そんなに太りやすい体質じゃないんだけど、ちょっと心配。太ったらやっぱり昂貴に嫌われちゃうかな? どっちにしても太るのは嫌だけど。細いと言われるとはいえ、ただでさえ身長あるから体重あるのに。だってね、私、『お姫さま抱っこ』大好きなんだもの。……って、こんな時になに考えてるんだろう私ってば……はぁ。
「風澄、なんだか綺麗になったわねえ。表情が明るくなったし、お肌もつやつやだし」
 なんて母に言われてぎくっとしたわよ、私は。あぁ、火澄兄が心なしか笑ってる気がするわ……ううう、お願いバラさないでえぇ、って思っていたら母親が続けて。
「恋でもしてるの?」
 いやーっ! そこは突っ込んじゃだめーっ!
「そ、そんなことないよ? 研究が楽しいからじゃないかな」
 そんなんじゃないもん違うもん恋愛とかじゃないもんと頭の中で焦りつつ繰り返しながら否定したけど、声、ちょっと上擦っちゃった。ううう、我ながら怪しかったかもしれない。って言うか、余計に怪しさが増しちゃったような気もする……。
「昔からつくりものみたいに綺麗な子だったけど、今は人間らしくなった気がするね」
「つくりものみたいに整ってるのは水澄兄のほうでしょう? 鏡見てよ鏡っ」
「あぁ、俺はあんまり人間らしくないから」
 なんですかそれ……。
「水澄は表情変わらないしな」
「俺は出ないだけ。おまえほどじゃないよ」
 ちなみに、水澄兄も火澄兄も、系統は違うけど自分のペースを崩さないという意味では本当にそっくり。私も結構そういうところはあると思うんだけど、この二人とは性質というかレヴェルからして違う気がするわ……。
「研究もいいけれど、人生も楽しまなきゃね。若いんだから」
 と母親が言う。そりゃあ末っ子だもの、若くて当然でしょうがっ。
「風澄ったら、地洋さんに似てもてるでしょうに……本当に男っ気なかったものね。なんていうのかしら、男性を寄せ付けない印象があるもの」
 ええと、実は、彼氏自体はいたことがあるんですけど。あっちのことも、経験あったんですけど。後ろめたい気持ちがないわけじゃなかったんだけど、そのへんはさすがに話せなかったな。でも、確かに『男っ気』はなかったと思う。まぁ元々気が強いほうだったし、基本的にあんまり男のひと好きじゃなかったし。下心見え見えなとことろか、苦手だった。
 でもね、今になってこう言われるのは、昂貴が原因なのかもしれない。
 やっぱり、私を女にしたのは間違いなくあのひとだわ。
「それにしても、風澄が選ぶ相手なんて、よっぽどレベルの高い人間だろうなあ」
 なんて、父親がぼやく。どういうことよ?
「風澄は、なんらかの部分で敬意を抱ける者でないと認めない傾向があるだろう?」
「ちょっとお父さん、それじゃあ私、なんだかすごく酷い子みたいじゃないの!」
 別に良い人ぶる気は無いんだけど、そういう酷いのはちょっと嫌……。
「そういう相手を否定するんじゃなくて、あくまで肯定しないということだけれど」
「どっちにしても、自分より優れたところのあるひとを選ぶでしょうね、風澄は」
 ……ねぇ、お父さん、お母さん……それって五十歩百歩っていうんじゃないの?
 でも、そうなのかもしれない。学歴とか成績とかじゃなくて、能力や考え方が進んでいるひとには興味があるものね。昂貴なんて、なにもかも全然敵わないし。まぁ、彼は『俺のほうが敵わない』って言ってくれるんだけど。
「そのうち、家に連れてきなさい」
 だから、いないったら!
「そういう相手ができたら、よ。水澄も火澄も風澄もね」
「言っておこうと思っていたんだよ。反対する気はないけれど、どんな人間なのかは知っておきたいから、そういう相手ができて、このひとと思ったなら連れてきなさい」
 やっぱり、理解があるんだろうな、うちって。両親がラブラブだからかな。うちの両親はね、社内恋愛結婚。と言っても、知り合ったきっかけはお見合いなんだけど。時代が時代だものね。当時、母親の上司が当時社長だったお祖父ちゃんに、彼女を息子さんに如何ですかって紹介して、それで祖父が面白半分に父に薦めたらしいの。最初はふたりともすごく嫌がってたんだけど、しぶしぶ会ってみたら父が一目惚れしちゃったんだって。母は旧家の出だったから、いろいろな苦労もあっただろうし、ずっと気を張ってたんだと思うの。自分を『気の強い可愛くない女』だと思ってたから、何度も求婚されてほだされたって言ってた。きっと、ものすごく嬉しかったんだろうな。

 * * * * *

 お風呂上がってからは気をつけなきゃ。一応隠れるところだけど、身体中キスマーク残ってるもの。萩屋さんの一件から少し減ったけど、つけるのはやっぱり好きみたい。お願いされて昂貴につけたこともあるんだけど、まだ自分から進んでつけたことはない。だって、なんだか痛そうじゃない? 私はされても痛くないんだけど、なんとなく。
 家を出てからも、何度も帰っているこの部屋。三年前に戻ったかのような気もするけれど、感じる痛みは、昂貴と知り合う前より格段に少なくなってる。……今までとは、やっぱり違う。今は、私を大切にしてくれるひとがいるから。心強い彼の存在が、私に元気を与えてくれる。たくさんの辛い時間をこの部屋で過ごした記憶が蘇る一方で、私が思い出すのは半日ほど前に包まれていた昂貴の腕。慈しまれた時間。だから……ひとりでも平気だった。
 そろそろ寝ようかな、と思ったところで思いついて携帯を開いたけれど、着信はもちろん、受信メールも無くてちょっとがっかり。でも、気を取り直してメールを打った。おやすみなさいって昂貴にも言いたかったから。昂貴にメールするのは久しぶり。いつ以来だろう。最近はずっと一緒に居たものね。
 部屋で一人とはいえ、家族の居る家の中で、なんだか気恥ずかしかったけど。
 そして、送信したらすぐに返事が返ってきて。
 私のこと、考えていてくれたの?
 そうだったら、嬉しいな。

 なんとなく、離れてても大丈夫っていう気がした。
 もちろん、そばにいたかったけど。
Line
To be continued.
2006.10.08.Sun.
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