叶わぬ恋、届かぬ想い

04.行為


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「っは……すご……っ、深い……深いよぉ……っ」
 食事も早々に、俺たちは繋がりあった。俺の部屋のベッドの上。最初は普通に始めたんだけれど、途中で風澄ごと起き上がり、例の対面座位で抱き合ったところだ。いきなりのできごとに風澄は驚いていたけれど、顔を赤らめながらも抵抗はしなかったから、続けても大丈夫だろう。この体勢は騎乗位と同じ原理で、上に乗ってる風澄の体重がモロにそこにかかるから、風澄にとっては自分で自分を犯しているようなもんだ。切なそうに眉をしかめて、しどけなく声を洩らす彼女。目の前にある端正な顔が、異物感と快感に歪む。乱れているのは息だけじゃない。
 そういえば、またシャワーを浴びてないな。これが終わったら風呂に行こう。そうだ、風澄を連れ込んだらどんな顔をするだろう? きっと、ものすごく恥ずかしがるんだろうな。でも、逃がしてやらないぜ?
 風澄が誘ったんだから。
「あぁん……昂貴いぃ……や、はあぁんっ」
 揺すって、下から突き上げてやると、彼女は素直に喘ぎ声を響かせる。もうだいぶ聞き慣れた、なまめかしいよがり声。
「やぁ……! そんなに、っ、したらぁ……んあ、当た……っく……」
 『当たる』……確かにそう言ったよな?
 風澄の口からそんな言葉が出るなんて……いいチャンスだ。
「……っ、どこにっ……当た、るっ……てぇ……?」
「んあ……っ、はぁ……お、奥、にぃ……はぁ……んっ」
「っ、……どこ、の……っ、奥、だっ……てぇ……っ?」
「やあぁん……っあ、そんな……ことおぉ……」
「……言えよ……っ、言って、みろよっ……」
「や……そんな……そんなこと、言え、なあぁい……あぁん! やあぁん!」
 『子宮』……その、たった二文字の言葉を言うことすらできないんだろうか。きっと想像してまた余計に感じてる。自分の身体の中に俺の身体の一部が、つまり、風澄の生殖器官に俺の生殖器官が挿入されているということ。そして、これは他でもない、子供を作るための行為だと。
 俺との子供を。
 ……いや、避妊はしっかりしてるけどな。
 だけど、『もしかしたら子供ができてしまうかもしれない行為』であることは間違いない。それを想像し、その行為を許され、しかも、今日は風澄が誘ったということを思い出して、今度は俺のほうが余計に感じてしまった。
「か、かすみっ……っく、風澄……」
「ぁ……やっ、あぁん!」
 俺の動きにあわせて上下する柔らかな胸に触れると、その先端は既に硬くなっていた。だからといって感じている証拠とは限らないんだが、この場合はその証だ。
「っ、風澄も……っあ、もっと、動けよ……んっ」
「えぇっ……やぁ、んああぁ!」
 驚いたところにすかさず、また突き上げて。そして一度動きを止める。
「でっ、できないよ、そんなこと……」
「してるよ。できてる。だからもっと動けって」
「やぁ、言わないでぇ……」
 首を振って、いやいやと言う彼女。
 『綺麗』という言葉がぴったりの風澄が、どんどん『可愛い』になっていく。
 俺に甘えて、縋って。
 いとおしい。
 動きを止めたままの俺に、風澄は痺れを切らしたようで、ついに動き始めた。最初はゆっくりと躊躇(ためら)いながら、そして、しだいに巧みに。回転を交えながら身体を上下に動かし、中を締めたり緩めたりして、お互いの快楽を引き出していく。
「あぁ……んっ……あっ、あぁ……こぅき……っ」
「いいよ……いいよ風澄……そうだ……上手いぞ……」
 まるで教師のように。
 そういえばこの前、お姫さまの家庭教師も兼ねてるーなんて言ったっけな。ベッドのほうもしっかり担当してるよ、俺は。王子なんかに渡さないけどな。
「あっん、あぁ、も……もぅ駄目ぇ……」
「っく、そろそろ、か……? っあ、イく、時はっ、言えよ……?」
「やあぁ、そんなっ、恥ずかしい、こと……っ、できな……ぃやあ!」
 ずっと我慢していたけれど、ついに俺のほうも限界を感じて、思わず激しく突き上げた。最初は控えめに肩に乗せられていた彼女の手は既に腕ごと俺にしがみついて、すっかり汗に濡れた肌が動くたびに擦れる。その感触のあまりの心地よさに、動きづらいのも気にせず腰を使い、俺は彼女の体内で暴れ続けた。
「もうすぐっ、だろ……っ、俺もっ……一緒にっ……」
「あっ……あぁ、だめ、も……ぃ、いっちゃう……っあぁ……やぁ……!」
「っあ、かすみぃっ……」
 そうして、俺たちは抱き合ったまま達した。ほぼ同時に。
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To be continued.
2003.11.08.Sat.
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